2008/12/06

自修自立

理想精神を養い、信ずるところに従って生きようとしても、なかなか人は理解してくれないし、いわゆる下流だの凡庸だのという連中は往々にして反感を持ったり、軽蔑したりする。

そういう環境の抵抗に対して、人間が出来ていないと、情けないほど自主性・自立性がなくって、外の力に支配される。

けれども本当に学び、自ら修めれば、そして自らに反って、立つところ、養うところがあると、初めてそれを克服していくことができる。

「安岡正篤 一日一言」より


安岡氏の言葉は、いつもながら背筋を伸ばさせる。

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2008/07/04

貞観政要に学ぶ 上に立つ者の心得 その三

これらの言葉から感じられることは、下記のような、人の上に立つ者に必要な条件である。
・私を棄てて公に生きること
・力を持つ者は、その力ゆえに驕りを持ちやすいので、努めてそれを抑制すること
・抑制するための方法として、苦言を呈してくれる者の言葉を受け入れること

敢えて、太宗が為し得なかったことを教訓として挙げるのであれば、人を育てることと、後継を混乱無く進めることだったと思う。

この本によれば、晩年、部下達が勝手に皇太子派と太宗派を作ってしまって、結果的に皇太子と不仲になってしまったという。
もしかすると、太宗には、14人の子がいたとされるが、それぞれに長所短所があり、かつ、太宗自身の好みの偏りがあったのかもしれない。
また、次の権力者がどの嫡子・非嫡子になろうが、国あるいは組織の継続性を第一とするような部下を育成できなかったために、結果として派閥が生まれ、派閥が後継者争いを生んだのかもしれない。
いずれにしろ、権力は内部闘争を生みやすいものであるから、某かの手を打つべきだった。

興味深いことに、この貞観政要を読んでいた徳川家康は、長子相続制を厳命した。徳川家康は、太宗の過ちから学んでいたのだろう。


今回、読んだ「貞観政要に学ぶ 上に立つ者の心得」は対談という形式を採っており、且つ、貞観政要の全てを網羅するものではない。

この本だけで貞観政要を理解することはできないだろうが、その背景と一部エッセンスを判りやすく纏めた良い本であると思う。

上に立つ者の心得 谷沢永一 渡部昇一 著

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2008/07/01

貞観政要に学ぶ 上に立つ者の心得 その二

貞観政要の内容は、多くは太宗が慢心に陥りそうな時に諫議大夫が諫めるシーンだが、中には太宗自身が進んで自分を律するシーンもある。
いくつかその会話を挙げると

太宗「君たるの道は、必ず須く先ず百姓を存ずべし」
君主よりも百姓が重要。

太宗「且つ復た一の非理の言を出せば、万姓之がために解体す」
君主がちょっとでも変なことを言い出すと、万民がバラバラになってしまう。

太宗「天下の安危、之を朕にかく」
天下が安泰であるか危険であるかは私一人にかかっているのだ。

太宗「其の身を陥るる者は、皆、財利を貧冒するが為なり」
自分を災厄に陥れるのはすべて財産や利益を深くむさぼろうとするからである。

太宗「人、自ら照らさんと欲すれば、必ず明鏡を須う。主、過ちを知らんと欲すれば、必ず忠信による」
自分がどういう人間であるか見ようと思ったら鏡を用いる。君主が自分の過ちを知ろうと思えば必ず忠義な家来が必要。

太宗「法は朕一人の法に非ず。乃ち天下の法なり」
法は天子である私一人のための法ではない。それは天下万民のための法である。

王珪「木、縄に従えば則ち正しく、君、諫に従えば則ち聖なり」
曲がった木でも墨縄に従って切れば真っ直ぐになる。どんな君主であっても、諫言を呈する家臣に従えば聖なる君主になる。

太宗「古より己来、兵を窮め武を極めて、未だ亡びざる者は有らざるなり」
古来から、戦争を好み、必要以上に武力を用いたがために滅亡しない国はなかった

太宗「戦を忘るれば則ち人殆し。戦を好めば則ち人凋す。」
軍備を怠れば国民を侵略の危機に晒すことになる。しかし、戦いを好んでいつも兵を用いるのも宜しくない。


その三に続く

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2008/06/30

貞観政要に学ぶ 上に立つ者の心得 その一

以前、中国人の知り合いと歴史や組織論について会話する機会があった。

「徳の高い者が真ん中に立ち、その周りを才のある者が固める。こうした組織は永く続く。逆に、才のある者がトップに立つ組織は、短期的に成功を収めるが、永く続かない。これは、日本の歴史を見ても中国の歴史を見ても、そう思う。」と自分が言ったところ、
「それは、貞観政要を読むべきだ。まさにそのことが詳しく書いてある。」と件の中国人の知り合いに教えていただいた。


浅学である自分はこれまで貞観政要を読んだことが無かったが、最近、書店で非常に判りやすく解説している本を見つけたので、早速購入して、一気に読み通した。
内容は対談形式で、文学博士の谷沢永一氏と上智大学名誉教授の渡部昇一氏が、貞観政要を軸として各々の知見を交換しあうというものだ。


貞観政要とは、唐王朝の第二代皇帝である太宗と、その部下の対話を記したもので、平安時代には既に日本に伝わってきていたらしい。

谷沢氏曰く「唐の太宗は、王を諫める役目の諫議大夫という役職をおいた。彼らは唐の太祖に上訴文をどんどん出した。」「太宗が偉いのは、自分の反対派であった人物を許して、逆に諫議大夫に取り上げている点。」

その諫議大夫の代表的な存在でもある、魏徴は元々、太宗の兄に仕えていた家来だが、太宗によって兄が倒された後、太宗に向かって「皇太子がもしも私の言うことを聞いてくださっておれば、今日のような悲劇は起こらなかったでしょう」と言い放っている。つまり、目の前の太宗に向かって、兄を倒すことができたのは、兄の慢心故であって、太宗の実力ではないと言っている。この言葉を聞いた太宗は、なんと魏徴を諫議大夫に大抜擢した。


その二に続く

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2005/03/09

論語の読み方  渋沢栄一 その九

子日く、これを知る者は、これを好む者に如かず。これを好む者は、これを楽しむ者に如かず。

これはモチベーションの強さについて説いています。
ある方法、技能などを知っているだけの者は、それらをある程度使うことはできます。
しかし、その方法や、技能などを好きで楽しんでいる者には、モチベーションのレベルからして、勝てません。
さらに、それらを楽しむ領域に入ると、更にその行動は強くなります。

渋沢栄一氏は、これに付け加えて、釈迦の六年間の難行苦行、キリストの受難も、その道を好きで、楽しむ境地にすらあったからこそ、できたことだと付け加えています。

勉強、練習、稽古、そういうったものを楽しみながら、実践することができれば、何よりも価値を生み出すのでしょう。

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2005/03/01

論語の読み方  渋沢栄一 その八

子日く、徳孤ならず、必ず隣あり

これは徳の高い人には、自然と仲間ができるということを説いています。
それは多くの人が、尊敬できる人に近づきたいと思うことが理由にあります。

逆にいくら金銭を持っていようと、美しい人であろうと、徳性の無い人は孤立します。

ただし、逆は必ずしも真ではありません。

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2005/02/10

論語の読み方  渋沢栄一 その七

子日く、約を以てこれを失する者は鮮し

これは倹約、慎ましさを奨励しています。
倹約を心がける人、慎ましい人、自分の器に見合った言動をする人というのは、失敗することが少ない。

ただし、渋沢栄一氏は、自身の意見として、節約に囚われすぎることの危険も説いています。
企業経営でもいえることですが、コストダウンにばかり気を取られると、ビジネスが縮小均衡に陥ります。
倹約する姿勢、心がけは正しいので、バランス感覚を持って、事に望むことが必要でしょう。

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2005/02/07

論語の読み方  渋沢栄一 その六

子日く、賢を見ては斉しからんことを思い、不賢を見ては而して内に自ら省みるなり

これは、優れた人に会ったら、自分もその人を見習うようにし、また、愚かな人に会ったら、自分も似たところが無いか反省するように、と説いています。
ここで注意するべきは、斉であって、羨ではないこと。そして、省であって、蔑や嫌ではないことです。
自分より劣った人であったとしても、学ぶことがあると解釈することもできるでしょう。

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2005/02/06

論語の読み方  渋沢栄一 その五

子日く、君子は義に喩り、小人は利に喩る

これは、何かを行おうとする際の、判断基準やスタンスを説いています。
何かを興す時、その行為が道義に適っているか否か、正しい行いであるか、私利を動機としていないか。
よくよく考えてから行動を起こすべきであると説いています。

それは私利私欲を満たすために起こした行動は、たとえ一時的な成功を収めたとしても、周囲からの支持を得ることは無く、また、後世にも長く批判を受けることになり、長期的な視点に立つと、失敗であると考えられるからです。

これについては、似たことを、京セラの稲盛氏も手記の中で、第二電電立ち上げの際の考えとして記されています。
この内容については、別途ご紹介いたします。

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2005/02/03

論語の読み方  渋沢栄一 その四

子日く、位なきことを患えず、立つ所以を患う。已を知ること莫きを患えず、知らるべきことを為すことを求むるなり。

これは組織の中に生きる者が、その心の拠り所をどうするべきかを説いています。
肩書きや地位に拘るべきではない。それよりも自分の存在価値、つまり、自分がどれだけ無くてはならない存在かを自問するべき。
無くてはならない人は、例え肩書きや地位が無くとも、必ず人から頼られる。
頼りにならない上長であるよりも、頼りになる現場の人のほうが価値があります。

大きな組織にいる人ほど気づかないものですが、肩書きは組織がその人に一時的に貸しているようなもの。人から借りているものだと思えば、どんな肩書きを持っているかではなく、自分はどんな価値を生み出すことができるのか、そちらの方に関心が向かうはずです。

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